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【Just keep buying】富が増え続ける「お金」と「時間」本レビュー

2023年11月5日

書店の話題書のコーナーで目について購入した本の感想です。

著者はアメリカの有名なデータサイエンティスト、ニック・マジューリ氏。

「サイコロジー・オブ・マネー」という金融本の著者が絶賛したという帯からも分かる通り、本の内容は「お金の貯め方や使い方をデータを駆使して分析し、結論を導いた」形になっています。

とはいえ、いきなり答えが序盤で出ているのが、いかにもアメリカ流。

本の原題であり、著者のお金に関する哲学である「Juts keep buying(ただひたすら買い続けなさい)」がそれに当たります。

もともとこの言葉は有名なyoutuberの言葉に触発されて、著者自身の家族の失敗とそこから得た教訓を組み合わせて作ったそうで、そのあたりの記述に引き込まれていきました。

全体的には投資の基本原則「継続・複利による利益」に沿うもので、それが先ほどの言葉に象徴されています。

そこに著者の様々な体験談と、そこから導き出される持論を組み合わせて出来たのが本書ということ。

なかなかに興味深かったので、今回レビューを書いてみることにしました。

本書の中身はかなりボリューミーなので、全ての内容を網羅することはできませんが、個人的に気になった箇所に絞って、その感想を述べていきたいと思います。

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お金の不安をなくすための方法とは

先ほど述べた「ただひたすら買い続ける」ことと述べています。

企業価値評価でもなく、強気市場か弱気市場かも関係なく、とにかく

株を買い続けること

が大切なのだと気づいたということ(米国株)

この方法は正式には「ドルコスト平均法」というもので、長期にわたって金融資産を定期的に購入する方法になります。

ドル・コスト平均法とは、価格が変動する商品に対して「常に一定金額を、定期的」に購入する方法です。投資金額を一定にすることで、価格が低いときには購入量(口数)が多く、価格が高いときには購入量(口数)が少なくなり、平均購入単価を抑えることが期待できます。

三井住友銀行「ドル・コスト平均法とは?」より

著者の提唱する「just keep buying」もそれに沿ったものになっており、さらに近年の「ネット取引」の発達によって「もたざる個人」がより簡単に安くコストを抑えて投資に参加できるようになったことで「ひたすら買い続けること」が可能になったといいます。

顕著なのがインデックス投資で、国際的なインデックスファンドを購入していれば、世界経済の成長の恩恵を得られる、ということ。

インデックス投資に関しては、過去にレビューした「世界のエリート投資家は」の著者も同じことを提唱していました。

「世界のエリート投資家は何を考えているのか」で負けない投資術を学ぶ

続きを見る

通常の株取引と違って、投資の手数料を低コストに抑えて、比較的安全に参入できる方法だとして、個人でも気軽に参入できるものだということ。

実際にはインデックス投資は「種金(元手になるお金)」がそれなりに大きくないと、そこまで大きな利益を得ることができないという実態もあります。

10万円で3~5%だったとすれば、得られる利益は限られますが、これが一億円なら話は違ってきますから。

なので安全確実と言われるインデックス投資といえども、大きな元手がないと意味がない現実があるわけですが、だからこそ「長期に渡って買い続けること」が必要になるのかなと。

長期投資は個別株の投資で求められる姿勢だと思いますので。

その意味で本書の一見「目を引く投資哲学」も、その内容は「当たり前」「常識」といえるものだなと感じました。

貯金についての哲学

貯金や蓄財についての記述です。

著者は貯金は無理をしてするものではなく、できる範囲で行うべしと述べていました。

その真意は「収入の~%を使わずに貯める」という考え方は見直すべきということです。

一定した収入源があれば可能ですが、様々な理由で人々の多くは仕事を辞めたり転職したり、または同じ仕事でもサラリーが下がったりすることがあります。

そこで「~%を絶対に貯める!」を頑なに守っていては、生活そのものがみじめになり、ストレスもたまって、幸福度が落ちるからというのです。

これは確かに当たり前の話で、その時々の収入によって貯金額は決めればいいじゃないか、と思うのは当然です。

ただ人間はけっこう「ルールに従う」ところがあって、一度決めた決まり事を守り続けてしまうことが多いのは私自身の過去を見返してもいくつもありました。

その渦中に入っていれば、周りが見えなくなって「目的」だけが肥大化してしまうという結果に陥りがちです。

本書で述べられている「経済的な苦しさよりも、貯蓄率の低さからくるストレスのほうが悪影響を与える」は、長い人生を生きていく上で心に留めておきたい心理的な教訓だなと感じました(お金のことだけではない)

他人と比べることの苦しさもそうですが、自分で決めたルールへの忠実さも苦しさを生みがちということですね。

お金持ちになるための王道とは

著者は「支出を減らせばお金持ちになれるはウソだ」と明言しています。

確かに無駄な支出を抑えることは大切だが、それのみに執着して爪に火を灯すような生活をするのは馬鹿げているとしています。

著者曰く「お金持ちになるための王道は、収入を増やし、収益を生み出す資産に投資すること」としており、そのための具体的な方法を説明しています。

その大まかな流れが「人的資本から金融資本へ」になります。

人的資本とは「自分がすでにもっている経済的な価値」のことです。

たとえるなら「技能」「知識」「時間」ということ。

それらを使った資本形成への道のりを5つ提示しています。

・時間単位の専門サービスを提供する(知識や技能を生かしたサービス)

(メリット)簡単に始められる/初期コストが少ない

(デメリット)使える時間に限りがある

・出来高制の専門サービスを提供する(オンライン販売)

(メリット)高い報酬が期待できる

(デメリット)使える時間に限りがある/サービスの開発に時間がかかる

・人に教える

(メリット)時間を有効利用できる

(デメリット)競争が激しい

・商品を売る

(メリット)時間を有効利用できる

(デメリット)先行投資と継続したマーケティングが必要

・会社で昇進する

(メリット)安定した収入を得られる/経験を得られる

(デメリット)時間が拘束される

これらの方法から自分に合った方法を選び、そこで資産の形成をはかること。

そのうえで「オーナーになる」「金融資産を使う」ことで「お金がお金を生み出す仕組みを作ることが最善」としています。

このあたりの考え方も、投資や資産運用・形成を行う人、考えている人には常識と言えるものだと思います。

自分の知識や体を使ってできることは限りがありますからね。

自動的に富を増やし続ける方法

自分自身から手離れしてどれだけお金を生み出すことができるか?

そこが「お金持ちになれるか否か」の分かれ道になると思います。

そのための方法の一つ「オーナーになる」は、何らかのビジネスを広く展開して、自分以外の人間に働いてもらい、そこから上がる収益でお金を貯めていく形になります。

本書ではNFL(米プロアメリカンフットボール)史上、唯一の億万長者になったジェリー・リチャードソンという選手が、引退後にファーストフード「ハーディーズ」のフランチャイズ店オーナーになり、次々と店舗を拡大した結果、後にNFLのプロチームを運営できるまでになった例を紹介しています。

これも「自分が働かなくても、お金を生み出す仕組み」を作った賜物ですね。

次に推奨されている「金融資産を使ってお金を生む」方法こそが「投資」そのものだと言えます。

そのために著者が勧めている投資の方法は「個別銘柄よりもインデックスファンドやETF」としています。

その理由として「安価な分散投資が可能になるから」ということ。

個別銘柄は儲かれば大きいですが、マイナスに転じたときのショックが甚大ですからね(お金的にも精神的にも)

昔の私の知り合いで個別銘柄を買っていて、バブル崩壊の際に数千万円を失った人がいます。

当時はまだ今のようにネット取引ができる環境にはなく、もっぱら証券会社を通じての取引でしたので、分散投資はなかなか難しかしい環境だったのかなと思います。

でも今は個人の投資家でも安価に手軽に始められるので、その点でもかなり便利になった感があります。

株式投資以外では「債権購入」も進めており、これも投資の常識的な範疇になるのかなと。

債権は他の資産と比較して収入源が安定していますし、株式の値上がり・値下げと反対の動きをすることが多いので、資産の危機管理としてポートフォリオ(資産運用の構成表)組み入れるには最適です。

こうした金融資産だけでなく「家を購入して資産にする」方法も挙げられていますが、こちらはまとまった金額が必要なことや、買う時期を見計らうタイミングが大事なこと、立地や年齢なども視野に入れなければいけないため、それなりの経験や信用(銀行からの借り入れに必要)が必要な資産形成になると思います。

私の過去のビジネスパートナーが戸建てのオーナーで家賃収入を得ていましたが、定期的に補修をしなければいけないこと、管理会社への手数料を支払わなければいけないこと、何かあったときのために家賃を積み立てておかなければいけないことなどを考えれば、そこまで儲かるものではないよと語っていたことを思い出しました。

そう考えると「人的資本による資産形成⇒金融資産による資産運用」が最もリスクが少なく、かつ手軽に行える「お金持ちになるための道のり」かと思いますね。

感想まとめ

以上が今回の書籍で気になったポイントと、その感想になります。

本書は他にもより具体的に資産形成や運用のデータにページを割いているため、かなり的を絞ったレビューになりました。

全体を通じて「王道」な内容であり、投資をしている人や続けている人にとっては「当たり前」なものが大半です。

ただ著者は「生活を楽しまずしてお金を貯めることは無意味だし、それは結局不可能だ」と考えていると感じましたし、私自身もそう思うため、だからこそ共感してこの本を購入し、感想を書こうという気になりました。

人生は大いに楽しむべきだと思います。

そこにお金があればより幸せになれます。

基本は「人生ファースト」で、お金はあくまでサポート役。

人生を楽しんでいれば自然と笑顔になれますし、笑顔になった人にはお金が集まってくるという気もしますね。

そういったニュアンス込めて、私はこの本をお勧めしたいと思いますし、また新たな所見を得るために読み直したいと思いますよ。

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