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工業英検2級(現・技術英検)と3級の合格体験談と勉強法を紹介

2019年10月10日

実務翻訳の勉強をしていたときに取得した英語資格です。

機械のマニュアルや知的財産翻訳に役立つということで勉強しましたが、TOEICや英検のようなビジネス英文書だったり、日常で使う英語とは毛色の違ったところがあって、そこがかなり面白かったですね。

今回はそんな工業(技術)英検を資格取得に至るまでの勉強法と、そこで得た英語の成果を書いていこうと思います。

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工業(技術)英検とは何ぞや?

正式には「工業英語能力検定」といいます。

一般的な英語検定(英検)とは異なるアプロ―チで英語の実力を測るという試験です。

*2020年5月31日の試験日から「工業英検」から「技術英検」に変わりました。試験範囲が広まったことによる変更のようです。以下、以前に書いた記事内容と変更後の記事内容を併記しておきます。

その目的は「科学技術文書を読む・書く能力」を測ることにあり、主な受験者は研究者、技術者、 理学・工学系学生・大学院生、技術・工業系高校生になっています。

国家資格ではないのですが、英検と同じ文部科学省認定試験なので、公的資格になりますね。

工業英検の英語が他の英語と異なるのは、論文をはじめ、科学技術文書やメーカーなど企業の英語マニュアル、契約書、仕様書、知的財産を巡る法律英語の解釈などを想定して作られたもの。

かなり英語全体がコンパクトにまとめられています。

工業英検の実施団体のホームページでは「明確に」「簡潔に」「正確に」の3つを工業英検の指標に掲げており、これを「テクニカルライティング」といいます。

その意味は、

Clear「明確に」

・1回読めば理解できる英文

・伝えるべき内容の論理関係を明確にした英文

・具体的でわかりやすい語句と構文を使った英文

 

Concise「簡潔に」

・できるだけ少ない語数で伝わる英文

・簡潔でより直接的に表現した英文

・読み手の負担を最大限減らした英文

 

Correct(正確に)

・的確な名詞や動詞が使われている英文

・文法ミスや数字の間違いのない英文

引用元:「工業英検とは?」日本工業英語協会

となっていて、良くいえば「コンパクトにまとめられて分かりやすい英文」、悪く言えば「間や感情のない機械的な英文」という解釈かなと思います。

たとえば、

If you move this desk, the task is easy to be done.

(もしこのデスクを動かしたら、その仕事は簡単にできるようになる)

が通常の英文だとすると、工業英語風に直した場合、

Move this desk increase the efficiency of the task

(デスクを動かすことで仕事の効率を上げる)

となります。

この違い、分かりますかね?

通常の英文は2つの文に分かれていて、ちょっと冗長になっている一方、工業英文は一文にまとめられて、より分かりやすくなっています。

これが3C(clear、consice、correct)ということです。

さらに特徴的なのが「動詞」を多用すること。

上の例文でポイントなのが「increase(増す)」となっています。

この動詞を使うことで、英文全体の引き締めをはかっているのです。

テクニカルライティングには色々な決まり事や特徴があるのですが、個人的には「動詞」の使い方が全ての帰趨を決めるのだと感じました。

ただそれは機械的というか、余分な情報をできるだけ排除して合理的な表現法を目指すということを意味するので、人間の感情が乗らないということにもつながるんですね。

なので勉強していても、英語を学んでいるというよりは「数学」「理科」などの自然科学に触れているような気になってしまいましたよ。

工業(技術)英検のレベルとは?

私が受験した当時は、1級、2級、3級、4級の4つのグレードに分かれていました。

今はそこに準2級というのが入っているようです。

*技術英検に変更後の資格名を以下にまとめておきます

【工業英検から技術英検への名称変更】

工業英検1級⇒プロフェッショナル

工業英検2級⇒準プロフェッショナル

工業英検準2級⇒1級

工業英検3級⇒2級

工業英検4級⇒3級

【注】工業英検時代に取った資格名を履歴書に書く際は、取得した当時のままでないといけないようです(私の場合だと工業英検2級)

4級と3級は全問マークシート、準2級はマークシートと記述が半分ずつ、2級と1級は全て記述式になっています。

出題内容は、4級と3級は「語彙」「空所補充」「英作文」「和訳」

準2級がそこに「英単語の英文解説」が加わり、2級は「英文和訳」「英作文」「修辞」1級は「テクニカルライティングの応用知識」「英文リライト」が加わります。

合格基準は、4級~2級が60%以上の正解、1級は70%以上の正解

1級のみが、頭一つ抜けた難易度を持っているのが分かります。

工業英検の級別レベルを他の英語資格と比べてみると、

工業英検1級:TOEICスコア800~、英検準1級~1級

工業英検2級:TOEICスコア700~、英検準1級

工業英準2級:TOEICスコア500~、英検2級

工業英検3級:TOEICスコア400~、英検準2級

工業英検4級:TOEICスコア350~、英検3級

といった感じです。(複数の他サイトで調べた結果)

私が工業英検2級をとったときのTOEICスコアが725点だったので、およその目安は当たっていますね。

では次にそれぞれの級別の私の勉強法を紹介していきましょう。

工業英検3級の勉強法と試験について

工業英検を受けようとした動機が実務翻訳の授業を受けていた流れからだったので、技術文書に対する基本的な知識は身に付きつつありました。(動詞の使い方や文章のまとめ方など)

なので、この時点で行う勉強法は「語彙を増やすこと」を眼目に置くことにしました。

なにせ試験には工業分野やマニュアル系の単語、知識だけでなく、まったく触れたことも効いたこともない化学や物理的な語彙も出てくるようなので、とにかくそれに慣れておく必要があったからです。

とはいえ、3級の試験はマークシート形式なので、ひたすら覚えるだけで十分です。

購入した問題集は、書店の工業英語テキストのコーナーにあったものでした。

3級と4級の併用のハンドブック型テキストで、見開きで単語や言い回しが英語と和訳のそれそれに載っていました。

産業・化学系の英単語や、シンプルな技術英文の様式がコンパクトにまとめられていて、すごく分かりやすい内容でした。

とりあえずそれを2か月くらい勉強していると、自然と技術英語の語彙に慣れてきて覚えるようになっていました。

試験当日は工業専門高校の教室で行われていたので、ほとんどの受験者が高専生。

自分だけが社会人のおっさんだったので、かなり場違いな感じがしましたよ(笑)

試験内容はマークシート形式で、テキストで学んだ内容が多く出てきて、ほぼ完ぺきに解くことができました。

もちろん結果は合格

試験から2週間ほどで通知が送られてきたと思います。

これでまずは工業英検の世界の第一歩に踏み入れたという感じですね。

工業英検2級の勉強法と試験について

続いて2級の勉強法です。

すでにこの時は実務翻訳の授業は全て終えていたので、技術英文への自信はついていました。

ですが、やはり2級となるとマークシートから記述式に変わるので、間違いのない和訳や英文を書く必要があります。

なので、もう一度基本からちゃんとやろうと、公式のテキストを買いました。

対策本は「テクニカルライティング(技術英文)の心得や基礎」についてまとめられており、技術英文についてのノウハウが詰まった手引書のようなものです。

例文も豊富で、まだ知識の浅かった自分的にはかなり勉強になりました。

そのテキストを2か月ほどみっちりと繰り返して覚えた後、続いて公式の問題集を購入。

こちらはもっぱら問題メインのテキストで、対策本で学んだノウハウを生かして実際の技術英文を和訳・英訳していく内容です。

実際の産業英語の現場でも使われているようなスタイルの英文ばかりで、仕事をするような意識で真剣に解いていったことを思い出します。

ただ問題ごとの解答文はあるのですが、数学などと違って決まった答えがあるものではないので、あくまで答えは模範例という形でした。

本当はもっと色んなテキストや想定本で練習を積みたかったのですが、工業英語関連の書籍で販売されているのがかなり限られていたので、とにかく同じ本の問題を繰り返し解いて反復で体に叩き込んでいった感じです。(以下は現在の技術英検のテキストです)

【技術英検のテキストと問題集】

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試験の日が近づいていたのですが、仕事をしていたので勉強になかなか集中できかったので、時期を一つずらして半年後に試験に挑みました。

そのときの会場も確か工業高校だったように思いますが、さすがに2級ともなると学生の姿は見えず、社会人の姿が多かったですね。

試験はテキストや問題集で出てきたものと同じ系統のもので、慣れていたので楽に書き進めることができました。

もともと英作文が好きだったので(得意とは別に)、それまで触れたことのない技術用語の英訳を考える時は、意外に楽しみながらできていたと思います。

そんなこんなで90分ほどをみっちり使って試験を終えました。

けっこうやりこなしたな、という実感はあったのですが、こればかりは結果次第です。

そして1~2週間後、合格通知が封筒で送られてきました。

2級の称号です。

このときはかなり嬉しかったですね^^

勉強法まとめ

工業(技術)英検の最上級を目指す場合、これまでのようにテキストや問題集を説くだけでは足りません。

特に工業英検から技術英検にシフト後は、試験内容から和訳がなくなり、英訳がメインになっています(以下、公式サイトより抜粋)

・英語長文の英文要約(800words前後)

・和文英訳(200~300文字)

・冗長和文の英文要約(500文字)

・テクニカルライティングの考え方

・冗長英文のリライト

こうなると必要になるのが英文ライティングの技術

正直、和訳はある程度の日本語の文章力があれば、語彙が分からなくても類推して訳することができるので、何とか対応できます(テキスト等でパターンを覚える必要がありますが)

そこへいくと英文ライティングは、日本語から英語への頭の切り替えが必要になってくるので、単に英文作成の技術だけではない”何か”が大切になります。

なので、ライティングは独学よりも、専門の講師や経験者に添削をしてもらいながら学ぶのが、最も効率の良い方法になります。

工業英検は受験者のための各種講座を用意してあります。

技術英語を学ぶ―「工業英語協会」公式サイト

工業(技術)英検を取得するだけが目的であれば、協会が提供する公式サービスで十分かと思います。

工業英検の感想とまとめ

英語には学生時代から自分なりの想いがありますが、特にこの工業英語に関しては「面白い」という感覚を与えてくれたことがすごく印象深いです。

普通の英語は人が話す言葉としての感情や、日常的な語彙の流れの中で使いながら、そのシーンを想像することができます。

いっぽうで工業英語は、自分とはかけはなれた世界の業務を英語で説明し、解釈し直す作業を伴うので、知的好奇心をすごく刺激された感がありました。

工業英検を受験する前に受講していた「実務翻訳講座」では、企業のマニュアル担当の人だけでなく、弁理士の先生が講義の先生になって知的財産保護のための英語運用術を教えて頂いたりしました。

正直いって知的財産英語は自分的にはめちゃくちゃ難しく、法律用語もさることながら、特許翻訳の決まり事や表現など、最後まで慣れずに終わりましたね。

実際に講義終了後に受けた「知的財産翻訳検定」も見事に不合格になってしまいましたから^^;

日本知的財産翻訳協会

ただ工業英検は知財に関する問題も出題されていましたので、それに合格したということは、知財の超入門編としての知識くらいは身についていたのかなあと自賛させてもらいます^^

工業英検は世の中にあまり知られていない英語資格ですが、その分、専門的な英語知識が求められる企業や現場では、ある程度のアピールにはなると思います。

実社会というのは基本的に実績重視なので、ただ資格を持っているだけでは何の役にも立ちません。

ただそれを持っていることで、自身の意思と進みたい方向性を他者に示すサインにはなると思います。

私もこの工業英検を直接生かした仕事には就くことはできませんでしたが、技術英文で学んだ明瞭で簡潔にまとめる書き方は、その後の仕事でも生かされていますよ。

技術者や特許翻訳者の英文スキル向上にはもちろん、英語の世界で身を立てようとする英語修行者の取得すべき資格の一つとして、ぜひとも工業英検をおすすめします。

⇒日本工業英語協会ホームページ

*記事本文でも書いたように、2020年5月31日の試験日以降、工業英検から技術英検に名称が変わっています。資格の内容も大幅に変更されるので、受験を予定されている人は上記の公式ホームページで詳細を確認してください。

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